最初で最後の恋
「それで、このまま腫瘍が大きくなり続けたら。娘は・・・・・・娘はどうなるんです?」
え?私?
私、どうにかなっちゃうの?
「腫瘍が大きくなり続けたら、腫瘍が脳を圧迫して、最悪の場合・・・・・・」
お医者さんの言葉にじっと耳を傾けていた。
「このままですと、娘さんは20歳までは生きられないでしょう」
「そん、な・・・・・・」
「おかあさん。わたし、20さいまでいきられないの?」
そんな私の問いかけには答えず、ずっと私を抱きしめているお母さん。
ちゃんと教えてくれないと分からないのに。
それを教えてくれない。
もどかしかった。
「とりあえず、安静にしていないと。学校には通ってもいいですが、激しい運動などは禁止です」
「わかりました・・・・・・。ありがとうございました」
お母さんが、お医者さんにお礼を言って、お辞儀をして部屋から出ていく。
そのあとに私も続く。
「お家に帰ろうか」
「うん!」
やっと家に戻れると思ってうれしかった。
この時の私は、幼すぎたの。
* * *