最初で最後の恋
「おい、瑠璃?」
颯人に名前を呼ばれてハッとした。
「ごめん、何?」
いけない、いけない。
また小さい頃の記憶に浸ってた。
あまりいい記憶じゃないのにね。
「や、なんでもねーけど」
颯人の前では明るくいたいのに。
なんでそれができないかなぁ?
どうしても治らない病気のことが頭をよぎるんだ。
仲良くしちゃダメ。
仲良くなっちゃダメ。
失うときが怖いから。
でもそんなこと構わずに。
颯人は私の中にズカズカと入ってくるんだ。
ほんっとなんなんだろう。
好きってだけで、ズカズカ入らせちゃうものなのかな?
人を好きになるとか初めてな私に、分かるはずもないか。