最初で最後の恋
花
「なぁ、瑠璃」
颯人の退院まで残り3日。
刻一刻と別れが近づいてきている。
「何?」
颯人に名前を呼ばれるのだって、こんなに慣れている。
始めの方は戸惑ったけど。
「瑠璃の横の花瓶。毎日一本ずつ増えてないか?」
気付いたんだ。
「お母さんに買ってきてもらってるの。毎日一本。私の大好きな、パンジーだよ」
さすがに花に関心のない男子でも、パンジーくらい知ってるよね?
「あぁ、学校の花壇によく咲いてるやつか」
「私ね、パンジーが一番好きなの。見た目もそうだけど、花言葉もね」
「花言葉?」
さすがに花言葉までは知らないよね。
「パンジーの花言葉ってなんだよ」
自分が知らないと、知りたくなるのが人間の心理ってもん。
聞いてくると思ってました。
「今は教えないよ。いつか・・・・・いつか、教えてあげるからっ」