最初で最後の恋
それからというもの、颯人は宣言通り、毎日来た。
毎日毎日、一本の花を持って。
「今日も持ってきてくれたんだ」
「あぁ」
今日もまた一本。
同じ花が花瓶に加わる。
色鮮やかなパンジー。
いろんな色があって、とっても綺麗。
「また外の話。してよ」
颯人が来るたびに話してもらっている、外の話。
「今日は学校の体育でサッカーがあったんだ。俺、めっちゃ点決めたぜ」
「すごいね」
颯人がしてくれる外の話で、私の世界が広がった。
「陽が眩しすぎたかな、今日は」
「そうだね。今日はちょっと眩しいかも」
カーテンを閉めていても、病室の中に溢れてくる陽の光。
病室の中が明るくなる。
「なんか食いたいもんないか?」
「ううん、大丈夫」
いつも私のことを気にかけてくれる颯人。
日に日に想いは増すばかり。
けど、伝えてない。