最初で最後の恋

「神様お願い。一日でも長く生きたい。愛している人がいるの。お願いします」


両手を絡めて、上を見上げた。


ガラスには神様らしきものが映っている。


「愛する・・・・・人?」


颯人がぼそっと言ったのを、私は聞き逃さなかった。


「そうだよ。愛する人。私には、ずっと隣にいたいと願う人がいるの」


「そう・・・か・・・」


ハハッと渇いた声で笑う。


なにがおかしいのかわからない。


「誰だか、わかってるの?」


「わかるわけないだろ」


伝えなきゃ。


想いは伝わらない。


どんな想いだって、伝えなきゃ、言葉にしなきゃ何の意味も成さない。


だから私は。


伝えるって決めたの。


----------お願い神様。


少しだけ力を貸して!





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