最初で最後の恋

「学校へ行くと、友達が挨拶で迎えてくれて。お昼もたくさんの友達に囲まれながらわいわい食べて―――――」


そこで止まった。


言ってて寂しくなったからだ。


私はそういう高校生活がおくれていない。


そう思ったら、なんだか泣けてきた。


けど、颯人の前では泣かないんだ。


颯人の前で流す涙は、うれし涙だけって決めたんだ。


「でね!放課後には、皆でクレープとか食べて・・・ね・・・・」


あれ。


どうしたんだろう。


急に言葉が出なく・・・なっ・・・て・・・・。


「ひっく・・・・・・」


やだ。泣いちゃダメ。


これはうれし涙なんかじゃないでしょ。


泣いちゃダメ!




そう思うのに。


体は私の言うことを聞いてはくれない。


颯人にそっと抱きしめられた。


「絶対、叶えような」


「う・・・ん・・・・・・」



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