最初で最後の恋

瑠璃side


空を見上げていたら、お母さんが戻って来た。


「あれ?颯人は?」


「帰ったわ。もう遅いし」


「そっか・・・」


何も言わないで帰っちゃうなんて、寂しいな。


「瑠璃は・・・・・・」


「ん?なあに?」


「ううん、なんでもないわ」


「?」


お母さんの言葉の続きが聞きたかったけど、聞いてはいけない様な気がした。


「初めての恋って、楽しいね」


「え?」


私は唐突に話すと、お母さんは少しびっくりしたような顔をした。


けれどすぐに、ふんわりと笑った。


「そうね」


「颯人と出会って、始めてをたくさん経験したよ。すっごく・・・・・・すっごく楽しい!」



長くは生きられないことなんて、忘れてしまうくらい。


体が弱いなんて、忘れてしまうくらい。


楽しさでいっぱいになるんだ。


私の心には、いつも颯人がいる。


颯人のいない世界は耐えられない。


私がそう思うのと同じに、颯人も私がいないと嫌だって思ってくれてるのかな?



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