最初で最後の恋
「お母さん・・・・。そういうこと言うの・・・・、やめてよね」
真っ赤な顔していう私に説得力はないんだろうけど。
「そうね。瑠璃は恥ずかしがり屋ですものね」
と、やめてくれた。
あんなの誰でも恥ずかしくなるって!
そんな思いを心の中で抑えつつ、段々と瞼が重くなるのを感じた。
「お母さん・・・・眠い・・・」
そう言うと。
「そうね。じゃあ、もう帰ろうかしら」
荷物を持って、立ち上がったお母さん。
「明日も来るからね」
いつもと同じ言葉を口にして、病室を出て行った。
前までの私なら、何も言わずにそっぽ向いてるんだろうけど。
「うん、また明日ね」
今は違う。
お母さんにもちゃんと感謝してる。
心のどこかに隠れていたそんな思いを知ったから。
私の言葉に微笑むと、静かにドアを閉めた。
私は誰に言うわけでもなく、ただ。
「おやすみなさい」
と、呟いて目を閉じた。