最初で最後の恋
教室へ戻ると、颯人たちが待っていた。
「おせーよ」
「ごめんね」
「んじゃ、帰るとしますか」
「そうだな」
今日もこれで終わりかぁ。
あっという間だったな。
楽しかったけど、今はすぐにでも病院へ行って
休みたい。痛み止めを注入してほしい・・・。
けど、そんなこと言えない。
「早く・・・帰ろっか」
にっこりと笑顔を見せる。
颯人はなんだかわからないような顔をしていた。
私たちは自転車置き場まで行き、颯人の自転車を見つける。
「瑠璃、後ろ」
「うん」
颯人の自転車の後ろに座り、ぎゅっと腰に手を巻く。
「じゃあ、瑠璃。またね!今度病院に遊びに行くね!」
「うん。待ってるね。またね」
こうして、私と颯人は病院へと向かった。
その様子を、誰かが見ていたなんて。
気付きもしなかった。