★甘えん坊な彼★～番外編～

「…明日、引っ越すとか聞いてない。」

遥香が言った。

聞いてたのかよっ！


「今、言ったじゃん。」

春樹が言う。


「そうじゃなくてっ…！なんで、言ってくれなかったのよ。」

「だって、明日引っこすって言ったら
もっと泣くだろ？」


「じゃあ、このままずっと言わないで引っ越すつもりだったの??」

「別にそういうわけじゃないけど。」

春樹が困った顔をする。



「なんで、離れて行こうとするの…？

もっと…、もっと、春樹と一緒にいたいのにっ…。春樹にいてほしいのにっ…！

ダメなの…？」

遥香が泣きながら言った。



「…俺だって、好きで引っ越すんじゃないよ。

引っ越さなくてもいいなら、引っ越したりしない。

遥香と離れなくてもいいなら離れない。
けど、決まった事だから…。」



「やだやだっ…。春樹しかいないのっ…！春樹だけなのっ…！」

遥香が春樹の腕を掴みながら言った。