金魚玉




思わず走り出していた。


走って。

走って。

走って。


息が切れてしゃがみこんだのは細い路地。

雨だけのせいじゃない視界の霞みの中で、

手探りでアンクレットに触れた。

掴んで引っ張ろうとしたけど、水で指が滑ってうまくいかない。

なんで。

なんで。

なんで。



「なんで、はずれないの………」

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