金魚玉
どのくらいそうしていたのだろうか。
ふと、自分に雨が当たらなくなったのを感じた。
「お姉さん、大丈夫?」
私と同じくらいの男の子だった。
「何?どうしたの?ソレ、はずしたいの?」
言われて、自分がいまだにアンクレットをいじっていたことに気がついた。
特に考えもせずに、頷いた。
「そっか」
男の子は何のためらいもなく、私のアンクレットに手を伸ばす。
パッ
引きちぎれたアンクレットのビーズが飛び散った。
暗く、雨の弾ける路地に赤が散った。