Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
裕也が借りた闇金の『ドリームローン』はヤクザ『朱雀組』が経営している。



瀬川さんの話では『朱雀組』の親玉『鳳会』はシンガーポールに根を張る中国系のマフィアらしい。


私が腰を下ろすソファの後ろは組員達で取り囲まれていた。


「俺は『朱雀』の若頭・松平だ」

彼の出で立ちは、黒いスーツ姿。黒髪をオールバックにセットし、切れ長の瞳は野獣のように鋭く、ギラギラさせ、ドスに利いた低い声。

ヤクザの若頭自らが私に自己紹介。


「私は…神楽坂紗月…です」


向うから自己紹介されて無視するコトも出来ず、声を震わせながら自己紹介をした。



「先日、代理人が君の借金を全て返済してくれたが、こちらの計算ミスで、利子の支払いが残っていたんだ」



「い、いくらですか?」



「1億かな?」


「ち、ちょっと待ってください…裕也が借りたお金はたった300万ですよ!」






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