Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
彼のキスだけで、脳裏は真っ白に霞かがる。


私もバスルームを借りて、シャワーを浴びた。


バスルーム内に立ち込める湯気に全身が包まれる。


私は彼に触れられたと思われる部分を入念に洗う。でも、彼は抱いたと言い切ったが、その気配を感じない。


感じないのは、私自身が眠っている間に抱かれた事実を否定したいのだ。


―――――彼は私が好意を抱いた人。


最低最悪な男性だとは思いたくない。


ホテルのボディソープは香しい薔薇の濃厚な匂いがする。


私は鼻腔を擽る花の匂いに夢中になった。





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