Fake love(1)～社長とヒミツの結婚契約書～

「犬や猫の子を産むんじゃないのよ！人の子を産むのよ」


「そうだ…人の子だ。君の八方塞がりの状況で抗うのは…時間の無駄だと思うが…」


「闇金の利子は法外…こうしてる間にも利子はどんどんかさんで行きますよ。紗月様」


瀬川さんまで…耳許で私を脅した。


「…産んだ子供は誰が世話するの？」


「俺が引き取って育てるから安心しろっ」


「貴方は本当に子供が欲しいだけなのね…」


「君は情を捨てて、金で割り切り、契約書にサインするんだ」


「一晩…考えさせて…」


怜様は盛大な溜息を吐いて、瞳を伏せて考え込む。伏し目がちな瞳を彩る睫毛の長さが艶っぽく影を落とした。