Fake love(1)～社長とヒミツの結婚契約書～

結婚披露パーティは何事もなく無事に終わった。


私達は夜も遅いし、邸宅の客間で宿泊するコトになった。



「息子の晴斗がお世話になっております。怜様」


「瀬川さん…晴斗のコトは何も心配なさらずに、俺の期待以上の仕事を果たしています」


私達の元に瀬川さんの父親で邸宅の庭番を務める瀬川晴彦さんが挨拶に来た。



「こうして…怜様も当主になられ、結婚もして…神楽坂家も安泰ですな」


「そう見えますか？」



「見えますよ。奥様である紗月様のお隣にいらっしゃる怜様の表情は本当に穏やかです。いい女性を伴侶にお迎えになられた」


怜はチラリと私の方を見て、心なしか頬を赤くさせる。



「親父、もうそれぐらいにして…行くぞ」


「これからもこの馬鹿息子をこき使ってやってください。怜様」



「これ以上、こき使われた…俺は死ぬ！！」


瀬川親子の会話に口許を綻ばせた。