Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
《16》片恋の彼

―紗月side-

結婚披露パーティから1週間ーーー・・・



ダークグレーの中折れ帽子を深く被り、黒いサングラスに細身のブラックジーンズ姿の男性が怜を訊ねて来た。

怜よりも背が高く、只者ではなさそうなオーラを匂わせていた。

怜が帰宅していないのに、若い男性を部屋に入れたのは不用心だっただろうか?



聖斗(キヨト)の名乗る男性はソファに座って帽子とサングラスを外さなかった。



「どうぞ」



私は彼にコーヒーを出した。




「聖斗さんの上の苗字は何と言うんですか?」



「小早川だ・・・」



「えっ!?ま、まさか…あのタレント・小早川聖!!?」




「本当の名前は聖斗。小早川聖は芸名だ」



彼は帽子とサングラスを外して、私に素顔を晒した。






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