Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
「おいおい…聖。俺は女じゃないぞ…」


寝癖で髪を乱した寝ぼけ眼の聖さんが、怜に抱き付いていた。


怜は聖さんに優しく声を掛けながら、やんわりと彼の手をほどいていた。


私はそのまま、見なかった振りをしてドアを閉める。



―――――あんな場面、見せられたら声なんて掛けられない。



怜に起こされたが、聖さんは眠いのか…表情は不機嫌そう。聖さんは怜の隣の椅子に腰を下ろした。



「おはようございます…聖さん」



私は恐る恐る挨拶をした。



「おはよ…」


聖さんは素っ気ない低い声で返す。


「まだ…眠そうですね…」


< 166 / 355 >

この作品をシェア

pagetop