Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
私はシナリオを食い入るように見つめ、台詞を暗記する。


「覚えた?」


「はい、まぁ」


「依里子さん…」


「!!?」


聖さんは突然、切なげな瞳で私を押し倒す。


和彦は依里子に迫ると…シナリオには書かれているけど、押し倒すとは書かれていない。


聖さんのアドリブか!?


私は聖さんに押し倒され、あたふたする。



「せ、聖さん…」



「紗月さんっていい匂いするね…」


聖さんが私の耳許で甘い声音で囁く。


部屋に響くインターホンの音。


「アホが来た…」


「アホ?」


「阿川満帆(アガワマホ)俺のマネジャーだ…」


聖さんは上体を起こして、私にインターホンに出るように目で指示する。


私も高鳴った心臓を押さえ、身体を起こして壁のモニターを覗いて応対した。



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