Fake love(1)～社長とヒミツの結婚契約書～

「雅斗は戦場カメラマンで、内戦の続くシリアの取材中に政府軍と反政府武装軍の銃撃戦に巻き込まれて亡くなった」



「・・・」



「雅斗の撮影したシリア内戦の写真を見ると日本はつくづく平和な国だと実感した。特にシリアの子供達の実情を知ると涙が出て来る…」



怜の色素の薄い瞳に涙が滲んでいた。


「国連の調査によると幼い少年少女達が人間の盾や自爆テロに利用された報告だってある…」



「怜は、雅斗の死を無駄にしない為に財団を作り、大人の都合で犠牲なった世界の子供達に色々と支援しようと考えているんだろ？」


「まぁな…」


怜は指で涙を拭い、佑介さんに相槌を打つ。


「佑介だって協力してくれてるだろ？」



「雅斗は今でも…俺の友人だ。雅斗の意志を継いでやりたいんだよ」



「二人ともありがとう…雅斗に代わって俺が礼を言う」



「でも、外野がうるさくて、財団実現にはもう少し時間がかかりそうだ。なぁ？佑介」


「あぁ」