Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~

―怜side-

「瀬川お前…紗月と何を話していた?」



俺がエレベーター前で待ってると言うのに、瀬川がなかなか来なかった。


俺は怒ったような表情で運転する瀬川に問いかけた。



「あの契約はまだ…破棄してなかったようですね…怜様」



「…あの契約?」



「紗月様と最初に交わした『結婚契約書』ですよ」



「あれか…あれはまだ、生きている。紗月が子供を産めば、俺達は離婚する」


「本気でそう考えているのですか?」


母子は父子よりも深い絆。


俺はその絆を裂こうとしている。


でも、俺は紗月が母の二の舞になるのは避けたいんだ。



「そうだ…」


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