Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
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俺と瀬川は一緒に紗月が緊急搬送された東亜医科大付属病院に社用車で向かった。
救急の処置室前の待ち合いソファに阿川さんが座っていた。
「怜さんに瀬川さん…」
「聖は?紗月の容体は?」
「聖さんは先に仕事に…紗月さんは産科から医師が来て、処置が終った所です」
処置室から出て来た白衣の若い男性医師が俺達に近付いて来る。
「産婦人科医の槇村燿(マキムラヒカル)です。神楽坂さんの容体ついてですが…」
「夫の神楽坂怜です。妻の容体は!?」
「悪阻で脱水症状を起こして、倒れられたようです。幸い、発見が早く…流産の危機が免れました。2日程は入院が必要となりますので、受付で入院手続きを行ってください」
「ありがとうございます…」
聖が部屋に帰って来なかったら、子供は流産していたのか…
俺は聖に大きな借りを作ってしまった。