Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
「それでも、俺は君との愛は貫きたいと思った…」



怜は私の『フェイク』のバイトを知り、それを逆手にとって強引に結婚を迫った。



妻は要らない…子供だけ欲しいと言う言葉には母親の二の舞にはしたくない…彼の深い愛があったんだ。



――――――私は怜に愛されていたんだ…



鼻の奥がツーンと痛み、目の縁から涙が滲んだ。



「紗月…泣かないでくれ」



怜が私の目の縁の涙を優しく指で拭ってくれた。



「嬉しいんです…」



「別荘での夜…俺は君に本当のキモチを伝えようと思ったけど…俺が君に伝える前に…君の方が…正直言って、こうして…君に本当のキモチを告げたけど…君を守れる自信はない」



「自分の身は自分で守ります…だから、ずっと…貴方のそばにいさせて下さい」



「紗月は強いね・・・」



怜は柔らかい笑みを湛えて私の手を握った。



「俺は君にばかり…肝心なコトを言わせて、ダメな男だな…」



「怜…」



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