Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
《23》交換条件

―怜side-

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東亜医科大付属病院・特別病棟。

俺は仕事の合間を縫い、大腸癌で入院した叔母様を見舞った。


「失礼します…」


病室には瀬川の父親が居た。


「これは…怜様…」


瀬川さんは俺に頭を下げる。



「瀬川さんが叔母様の見舞いとは珍しいですね…」



邸宅内ではお互いに忌み嫌い合っている様子で、仲が悪いのかと思っていた。



「私はこれで…失礼します…」



「ありがとう…瀬川」


「私などに…礼は無用です。お嬢様」


55歳の叔母様にお嬢様と言う呼び名は似合わないが、瀬川さんから見れば、叔母様は永遠にお嬢様。


瀬川さんは足早に病室を出てしまった。





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