Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
《24》昔の恋人

ー紗月side-

私の妊娠経過も順調で安定期の5ヵ月に入り、そろそろ胎動を感じ始める時期に差し掛かっていた。



「紗月のお腹…少し出て来たな…」


「うん」


怜は私の下腹部を優しく擦り、お腹が出て来たコトを確かめる。



「5ヵ月だし、胎動感じるの?」



「まだ…判らない…」


「それって…紗月が鈍いから??」


「鈍いワケじゃないわ。もうすぐ、感じるようになるわよ」



「感じたら、教えてくれ」



「はいはい」


「怜さん、瀬川さんが待ってますよ」


「ありがとう、阿川さん…行ってくるよ。紗月」



怜は私の頬にキスをして、ブリーフケースを右手に提げて玄関先に向かった。




「いってらしゃい」


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