Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
「何言ってんだ?お前は俺がスキで東京まで追い駆けて来たんだろ?」


裕也は俳優を目指して上京した。私は夢に向かってひた走る彼の背中が追って来た。


当時の彼の姿はダイヤモンドの原石のように輝いて見えた。


でも…現実は厳しく、裕也の所属した劇団は経営難に陥って潰れてしまった。それからの裕也は毎日パチンコ通い。



生計は私に圧し掛かった。



「これ憶えてる?」


同棲していた時に撮影した私達のキス写真を見せた。



「これは…今すぐに消去してよ!もう、私達…別れたのよ!!」


「別れた?俺は一言も別れを切り出していない…」


「私は結婚したの。お腹の中に子供だって…」


「へぇー妊娠してんのか…」


裕也は私の肩を荒っぽく掴んで、背中を硝子に押し付けた。







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