Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
「紗月…元カレに再会して、強請られたらしいな…」


俺はコーヒーを出す紗月に問い質した。


「怜?どうしてそれを?」


「昨日、敦司さんから訊いた」


「昨日は佑介さん達と…」


「敦司さんも来たんだよ…元カレの裕也に金を渡したのか?」


「いいえ…あれから、裕也から何も言ってきません…」



「とりあえず、携番とメルアドを変えて、裕也からの連絡を取れないようにするんだ。紗月」


「わ、判りました…」



紗月はようやく胎動を感じた。俺は紗月のお腹に手を当てるが、胎動は感じられず寂しかった。



「赤ちゃんが動きました…」


俺は紗月のお腹に手を当てた。


「動いてるでしょ?怜」

紗月は嬉しそうに俺に言うが…俺には全く感じなかった。


「…わからない・・・胎動は紗月だけの特権だな…」

日を追う毎に母親としての自覚を持っていく紗月が羨ましく思う。




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