Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
「晴斗!!!」

晴斗は刺されたお腹を押さえ、そのままビルの壁に凭れかかって蹲った。

俺はブリーフケースから愛香から貰った封筒を取り出して、裕也に差し出した。

彼の持つ刃には晴斗の赤い血が滴っていた。


彼は殺気を孕ませた視線を俺に向ける。


「これが愛香から受け取った金だ!!」



「…最初から素直に出せばいいんだよ…」


裕也を刺したナイフを地面に捨てて、裕也は何食わぬ顔で通りに戻って行った。



「俺のコトなんて…」



晴斗の白いシャツは赤く染まっていた。



「今…救急車を呼ぶから待ってろ!!」



「そんな…コトをすれば…マスコミに…」


「喋るな!!」


俺は晴斗の制する声を無視して救急車を呼んだ。


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