Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
《28》空白の時間

―紗月side-

私は緊急帝王切開で、手術台に寝かされていた。


下半身麻酔の為の意識はあった。



忙しくなく槇村先生が看護師に指示を与える。切迫した雰囲気が手術室を包んでいた。



「もうすぐで赤ちゃんに会えるから…」


正常な妊娠期間は十月十日。


でも、私はまだ…9ヵ月目に入ったばかり。私と怜の赤ちゃんは未熟児だ。



「赤ちゃんが出たよ。おめでとう…神楽坂さん…君に似て可愛い女の子だ」


槇村先生は優しく私の耳許で囁いてくれた。


――――――生まれた。女の子か…



私の瞳には感激の涙が溢れた。








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