Fake love(1)～社長とヒミツの結婚契約書～

俺は愚かだ。後悔の感情ばかりが堂々巡りしている。過去ばかりを惜しみ、今を未来を考えられなかった。


「俺はつくづく馬鹿な人間だ…」



「二人はまだ…生きているんです。社長」



「生きている…」


瀬川の言葉が惜しむばかりの俺の心に希望を与える。でも、剥がしても剥がしても不安なキモチは時が経つにつれて厚みを増していく。




俺の回りの人間はは皆…俺を置いて去ってしまう。


このまま…紗月も俺を置いて逝くのか思うとーーーー・・・



これは神が与えた試練なのか？


それとも、神の与えた罰なのか？



紗月とキモチを重ね合わせた束の間の日々だけが音を立てて脳裏に蘇った。



足りない。


まだ、足りない。

俺は紗月…君と共に人生を歩み、想い出を沢山作っていきたいんだ！





こんなところで、君を失いたくないーーー・・・



「社長…ランプが消えました…」



瀬川の言葉で俺はランプに視線を向けた。明々と光っていたランプがようやく消えた。


紗月の命の灯火も消えたのか？