Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
「・・・」


俺は保育器の中に入った我が子に対面した。


「この子が俺の子供…」


オムツだけの小さな身体には無数のコードが這っていた。



鼻にはチューブ、口には管が入り、細い腕には点滴の針が容赦なく打ち込まれている。



「言葉が出ないですか…」


「申し訳有りません…」


俺と紗月の子供だと言うのに…


「でも、この子は頑張りました。生まれた時は仮死状態で、俺の蘇生で再び息を戻したんですよ。必死に生きようするキモチがこの子を甦らせたんです」



「槇村先生…」



「中程度の新生児仮死ですが…低酸素脳症を患っている可能性があります」


槇村先生の口調が急に重苦しくなった。


「低酸素脳症?」


「何かしら脳にダメージを受けているかもしれません…」


「障害を持っていると言うコトですか?」


「…そうです。覚悟だけはしておいた方がいいと思います」


「わかりました…」



助かっただけでも幸運だと思うしかなかった。





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