Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
私は退院したが、紗羅は入院していた。母乳を搾って、病院を行き来する日々を過ごす。


「母乳は、ミルクよりも栄養価高いんですよ」


「…朝からまた、それか・・・」


「怜が私と紗羅を引き離すようなら、私も弁護士に相談します!」


「紗月君が自分を責めるから…俺は君の為に・・・」



怜は私に何かを伝えようとしたが、インターホンの音で口を噤んだ。



「瀬川だ。俺は仕事に出かける・・・」



キッチンに立って洗い物をしていた満帆さんが振り返った。




「いってらしゃい。神楽坂さん」


「いってきます・・・」


怜は満帆さんには愛想よく手を振って、部屋を出て行った。



産後で安静の必要な私は家のすべてを…満帆さんに任せていた。


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