Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
「俺は『フェイク』を通して、君と知り合ったが…君と直接…交渉がしたい」


「えっ!?」


彼の名前は、先月…亡くなった大手スーパー『レオン』グループの神楽坂貞治(カグラザカテイジ)会長の孫・神楽坂怜(カグラザカレイ)30歳



私は『レオン三鷹店』でバイトしていた。

彼と初めて出会ったのは店内のバックヤード。
私はバイトを始めて…1週間の新人だった。

今、思い出すだけで恥かしく顔が真っ赤になる。私は『レオン』グループの次期後継者だと知らず、失礼な態度を取ってしまった。

私的には、初めての出会いは彼の記憶の中から削除されているコトを祈りたい。

あれからも、彼は何度か店舗視察で店を訪れた。
言葉を交わすコトは無かったけど、彼の容姿は目立つ。

サラッとしてそうな黒髪をワックスで整え、色素の薄い瞳、高い鼻梁に彫りの深い顔。

スーツの上からでも広い肩幅と長くスラリとした背丈が目を惹く。


彼は『レオン』のアイドル的存在なのだ。




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