Fake love(1)～社長とヒミツの結婚契約書～

紗羅の容体も安定し、脳のCT検査を行った。


結果を訊こうと俺と紗月は二人で揃って槇村先生の元に足を運んだ。



『親として全てを受け止めて、紗羅の未来を切り開く為に全力を尽くそう』


俺と紗月が話し合った結果だ。



「先生、俺達は何を訊いても大丈夫です。親として懸命に紗羅を育てて行きます」


「紗羅ちゃんが生まれた時の神楽坂社長の態度を見ていると…本当に紗羅ちゃんを託せるかどうか不安に思いましたが、今日の神楽坂社長なら紗羅ちゃんを託せる気がします。父親としての自覚と責任感で溢れている」



「恥ずかしながら、俺に父としての自覚と責任感を持たせてくれたのは妻の紗月です」



「…CT検査の結果は異常有りませんでした。でも、紗羅ちゃんは未熟児です。満期産で生まれた新生児よりも抵抗力は弱く、育児には苦労すると思います。悩んだ時は必ず…俺を訊ねて下さい…神楽坂夫人」



「槇村先生…」



「この病院で産まれた赤ちゃんは皆…俺の娘、息子です。そうやってずっと…退院した子供達を送り出して来ました」



「横浜の槇村先生と同じでいい先生だ」



「まだまだ、父親には敵いませんよ…でも、父親を超えたいとは思っています」



槇村先生は父を認めながらも、超えようとする意欲を見せた。