Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
俺は燕尾服を脱いで、普段着で紗耶香お嬢様の部屋を訊ねる。


「紗耶香お嬢様?」


紗耶香お嬢様が部屋の前で俺を待っていた。


「・・・」


お嬢様はポカーンと口を開けて、俺の姿を凝視した。


「俺の顔に何か付いていますか?」


「え、あ…いいえ…その…普段の格好と違うから驚いただけです」



お嬢様は俺から顔を逸らし、先に歩き出す。

耳朶まで真っ赤にした可愛い初心なお嬢様に思わず笑みが漏れる。


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