Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
私は更衣室で制服に着替え、売り場に向かおうとバックヤードに向かって歩いていた。


「あ、夫人…神楽坂夫人」



「えっ?」


私は足を止めて後ろを振り返った。


「ご結婚おめでとうございます…社長からお二人の入籍の報告を受けました。まさか…ウチのレジ係と社長が結婚するなんて…」


「この結婚には深いワケがあって…」


これは怜と私の二人の秘密だ。私は口を引き結び、貝のように硬く閉ざした。



「これからの勤務について…話があるので店長室に来て下さい。夫人」



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