Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
《8》 重なった肌

―怜side-

「今回の新商品は甲乙つけ難い。どれも美味かったな。瀬川」


新商品の試食会を終えて社長室に戻った。


「あれが全部レトルト食品だと言うんだ。驚きだ…」


「社長、明日は紗月様と病院の診察に…」



俺は瀬川が言葉を終える前に言葉を重ねた。



「行くよ…」


俺は椅子を引いて腰を下ろす。



「紗月様から訊かれました?」



「何を?」



「何って…その様子だと、訊いていないようですね…明日、判るコトです。余り、デリカシーの無い言葉は言わないであげて下さい」
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