Fake love(1)~社長とヒミツの結婚契約書~
《9》初夜の朝

―怜side-

乱れて湿ったシーツの上で、朝を迎えた。


紗月に囁いた『愛してる』


その言葉に嘘も偽りもないのに、紗月には本気だとは思われていない。

幾度となく、繰り返した甘い律動で腰が重かった。


昨日の俺は発情した獣のようだった・・・



彼女が俺をスキだったなんて…予想外で、自身の本当のキモチも告げるべきか?


でも、母の受けた仕打ちを考えると、このまま俺は子供だけを引き取って育てる方がいいと思う。


君のキモチを知った以上、俺は君を神楽坂家には迎えられない。


常に冷徹な顔しか見せなかった父が母の葬式の日に見せた涙を思い出すとそう思う。


父の愛はエゴ。俺も父と同じエゴの愛を見せているが、紗月と寄り添うのは子供を産むまでの話。


その先は子供と二人で生きていく。





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