恋か愛か。
『早く行かないと学校に遅れるわよ?』
母は優しい。表向きだけは。
お父さんが居ない日、他の男と居るの知ってるんだから。
『あ、本当だ。行ってきます!』
また言葉を押し殺して嘘くさい笑顔で家を出た。
やっと嘘の作り物家族から解放されたのもつかの間。
今度は全部が作り物の高校での1日。
『はぁ。』
本当につまらないしくだらない。
教室でもいつもの嘘くさい笑顔で話についていく。
ああ、うるさい。教室は真夏の蝉よりうるさい。
耳が痛い。
でも、この生活は蝉の命より長い。
あと2年間、耳を塞いで生活するなんて息がつまりそう。