恋か愛か。

『早く行かないと学校に遅れるわよ?』

母は優しい。表向きだけは。

お父さんが居ない日、他の男と居るの知ってるんだから。

『あ、本当だ。行ってきます!』

また言葉を押し殺して嘘くさい笑顔で家を出た。


やっと嘘の作り物家族から解放されたのもつかの間。

今度は全部が作り物の高校での1日。

『はぁ。』

本当につまらないしくだらない。

教室でもいつもの嘘くさい笑顔で話についていく。

ああ、うるさい。教室は真夏の蝉よりうるさい。

耳が痛い。

でも、この生活は蝉の命より長い。

あと2年間、耳を塞いで生活するなんて息がつまりそう。
< 3 / 9 >

この作品をシェア

pagetop