恋か愛か。
日曜日。
何もすることがない。
親は当たり前のように居ない。まぁ、居ても何もないけど。
『〜〜♪』
あの歌が忘れられなくて、気付けばいつもあのメロディーを口ずさんでいた。
『行ってみようかな。』
病院の中庭。あの場所に行くことにした。
行くまでの時間が長く感じた。
授業の最後の5分みたいに。
病院に着いて、少し緊張しながら中庭のドアをくぐり抜け彼の姿を探した。
『.........。』
居ない...。
肩を落とし私はその場に腰を下ろした。
大きな木。シロツメクサがいっぱい咲いていて、木漏れ日がとても気持ちいい。
あのメロディーが聴こえた気がして知らないうちに歌い出してた。
聴いたことのない曲だったけど、自然に頭に入ってくる。だから何故か歌えた。
『〜♪〜〜♪』
歌い終えて深く目をつむった。
数十秒して目を開くと目の前に彼がいた。
私は恥ずかしくなって立ち上がろうとしたとき、
彼が口を開き
『君の声、きれーーー!』
と、子供みたいににかっと笑った。
歌っている時と別人みたい。歌っている時は少し声が高くて雰囲気も大人っぽい。
別人みたいだけど、間違いない。あの彼だ。