キミと帰る道











無造作にセットされたふわふわした自然な黒髪。





細身な体型に高い身長。




…その後ろ姿は……。





「…っ、藤谷くん!」





きっと、藤谷くんだよね?
ううん、藤谷くんだ。





前にいる藤谷くんの足がゆっくりと止まって。
振り返った藤谷くんは相変わらずの無表情だった。





藤谷くんのところまで小走りで行くと、藤谷くんは不思議そうな顔でじーっと私を見つめてくる。





「……誰?」




「…へ?」





藤谷くんの口が紡いだ言葉に私は首を傾げる。





『誰?』って…、お昼休みに話したばっかじゃん。





「日本史の教科書、お昼休みに借りて…」




「無くしたと思ったら、あんたが勝手に持って行ったわけ?」




「え? ち…違うよ?」





おかしいな……。
目の前にいるのは本当に藤谷くんなのか疑いそうになる。





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