キミと帰る道





いま赤く染まるこの街路樹の葉が落ちる前に、覚えてもらう。
そして、ちゃんと気持ちをぶつけてみよう。





そしたら…スッキリ忘れられる。





「でも、なんで…私なんかにチャンスをくれるために、別れたの…?」





両想いで付き合ってはずなのに。
それがものすごく気になるんだ。





聖羅ちゃんは『んー』と考えるそぶりを見せる。





「光輝はあたしのことを好きじゃないからだよ」





苦笑いを見せながら、聖羅ちゃんがそう言った。





そんなはずないのに。
藤谷くんは、聖羅ちゃんのことを…好きなはずじゃないの?





「そんなことはいいじゃんっ。
今日からあたし、優芽ちゃんと帰るからさ。
がんばってよね?」




「う…うん!」





歯切れが悪いけど。
聖羅ちゃんがこれ以上聞かないで、っていう顔を見せるから。





それ以上踏み込めない。
……そんなところは、藤谷くんと似ている。





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