キミと帰る道











お昼は屋上にいる藤谷くん。
私は詰まりそうになりながらも、お母さんの作ってくれたお弁当をお腹の中に入れる。





「もうっ、すずちゃんてば急ぎすぎー!
光輝は逃げないよ〜?」




「まあ、すずらしいけど」




「だ…だって…」





確かに藤谷くんは逃げないけど。
でも、長い時間話していたいから。





「じゃあ、行って来ます!」





ふたりは笑顔で私に手を振った。





聖羅ちゃんの笑顔は本物で。
藤谷くんを好きなのに私を応援してくれるのが、ものすごく嬉しい。





…聖羅ちゃんが私を応援してくれる理由がわかったかもしれない。





やっぱり私にチャンスをくれていて。
藤谷くんの恋愛対象に入れてくれようとしてるんだ。





……だって、そこからどっちかを選ぶか選ばないかは、藤谷くん次第だもん。





< 103 / 228 >

この作品をシェア

pagetop