キミと帰る道
*
お昼は屋上にいる藤谷くん。
私は詰まりそうになりながらも、お母さんの作ってくれたお弁当をお腹の中に入れる。
「もうっ、すずちゃんてば急ぎすぎー!
光輝は逃げないよ〜?」
「まあ、すずらしいけど」
「だ…だって…」
確かに藤谷くんは逃げないけど。
でも、長い時間話していたいから。
「じゃあ、行って来ます!」
ふたりは笑顔で私に手を振った。
聖羅ちゃんの笑顔は本物で。
藤谷くんを好きなのに私を応援してくれるのが、ものすごく嬉しい。
…聖羅ちゃんが私を応援してくれる理由がわかったかもしれない。
やっぱり私にチャンスをくれていて。
藤谷くんの恋愛対象に入れてくれようとしてるんだ。
……だって、そこからどっちかを選ぶか選ばないかは、藤谷くん次第だもん。