キミと帰る道





屋上のドアを開くと。
やっぱりいつも開放的な気持ちになる。





少し冷たい風が通り抜けるけど。
それもなんだか屋上だと心地よく感じる。





いつも通り、フェンスから少しだけ身を乗り出して空を見上げてる藤谷くんの後ろ姿が見えた。





すぅーはぁーと深呼吸をして。
止めていた足をゆっくりと動かす。





また〝初めまして〟。
だけどもう大丈夫。





だって…少しだけ覚えてくれたから。





「…藤谷くんっ!」





彼の名前を呼ぶと。
やっぱり冷たい顔で振り返る。





いつもはすぐに『誰?』とかって聞いてくるのに。
なぜだか今日は…じっと私を見つめてくる。





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