キミと帰る道
ものすごく嬉しくて。
思わず泣きそうにもなるけど。
上に広がる空を見て、堪えた。
覚えてもらえなくても。
自己紹介をしたばかりでも。
名前を呼んでもらうのが、なんだかくすぐったくて。
嬉しさと涙が溢れてくる。
秋になって寒くなってきても。
心がぽかぽかする。
「すずは…俺に病気のことを教えてくれたやつだろ?」
「…う、うんっ」
顔をちゃんと見られない。
自分から呼んでって言ったけど。
…や、やっぱり…恥ずかしいかも。
「俺さこの鈴をくれた子…、すずのことが少しわかるようになった。
病気のことも。『一緒にがんばろう』って言ってくれたことも」
藤谷くんは笑いながら、ピンクの根付の…私があげた鈴をチリーンと音を鳴らしながら揺らした。