キミと帰る道






「お昼休みに貸してくれたじゃん…っ」




「……そうだっけ…」




「私は勝手に持って行ってなんかないよ!」





こんなに冷たくてひどい人だったの?
てっきり…本当は優しい人だと思ったのに…!





藤谷くんはバツが悪そうな顔をして、頭を掻いた。





「……ごめん。
俺、たまに人の記憶がなくて。
傷つけたなら、悪かった」




「そ…そうなの?」





藤谷くんは悲しそうな瞳で『あぁ』と呟いた。




…そういえば。
〝観賞用の王子様〟と言われる理由が、もうひとつあったよね?





前に…いまの私みたいに、話しかけたばっかなのに、少し経ってまた話しかけると『誰?』って聞き返されたって。





ただ冷たくて人に興味がないとかみんな言ってたけど。





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