キミと帰る道
「すずには本当に感謝してる」
「え?」
「俺の病気のことも教えてくれたしさ」
「そんな、感謝されるようなことじゃ…。
私はただ、藤谷くんのためになるならって……」
藤谷くんは私の頭をそっと優しく撫でた。
まるで、壊れそうなモノを触るように、そっと。
「ありがとう」
また、笑った。
その柔らかくて穏やかな笑顔が…好き。
いままではずっと、冷たい表情しかしなかったのに。
真顔も柔らかくなった気がする。
それはきっと。
藤谷くんの心の中で、なにかが…。
少しずつ、少しずつ変わってる証拠なんだよね?
ちゃんと、病気と向き合って進んでいるんだね。
一歩一歩、ゆっくりだとしても。
そんな藤谷くんを見てる私にとって。
自分のことのように嬉しくなる。