キミと帰る道






少しぼーっと考えながら、歩いて行く。
藤谷くんもなにも話さなくて。
ただ静かなまま、歩いて行く。





私と藤谷くんの距離は。
肩と肩の間30cmくらいの友達の距離で。
これ以上近くなることはないんだと思う。





近くなりたいけど…。
無理とわかっても足掻きたいけど。





あーもう、どうすればいいのかわかんないよ…っ。





そんなとき、キキーッという車の大きなブレーキ音が耳に入って。





我に返ったときには、もう。






信号のない横断歩道を渡っていた私に車がぶつかる勢いで、走って来ていた。





ダメだ。
怖くて。
足がすくんで。
頭が真っ白になって。





もうダメだと、ぎゅうっと目を瞑ると。






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