キミと帰る道





でも…いつもすずは俺に話しかけていたと、聖羅に聞いた。





きっといつもいつも俺に話しかけるたびに傷ついていたのに。
それでも、そばで笑っていてくれたんだと思う。





…だからいまだって、クラスメイトの席順とか、よく話しかけてくる人の特徴はほんの少しだけ覚えられたんだ。





俺には…選べなかった。
正しく言うと、そう言うことなんだ。





俺にとって…聖羅とすずは大切な人だから。
…どっちを選べばいいのかわかんねぇんだよ……。





「……本当、情けねぇ…」





結局この選択はみんな傷つけるんだ。
片方を選べば、もう片方が傷ついて。
両方選ばなくても、ふたり傷ついて。





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