キミと帰る道






俺は〝恋〟がどんなモノか知らない。
いままで、そばに女は聖羅しかいなかったから。





それにいまだって、女は聖羅とすずしか知らないし。





俺はそんなの知らないから、選べない。





人のことなんてわかんねぇよ。
だって、自分のことすらわかんねぇし。





どうすれば人を傷つけないのか。
なんて、人と全然関わって来なかったから、難しくてしょうがない。





びゅうっとほんの少し冷たい風が、制服の中を通って行く。





…すず、泣いてんのかな。
俺は慰めるために追いかけるべきだったのかな。





でももう、これ以上すずを傷つけなくないから。
これ以上泣かせたくないから。





俺はすずのことを忘れようと…思うんだ。





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